2013年01月24日
遠野秋彦の庵小説の洞 total 1722 count

三百字小説『海若葉』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 惑星ワカバの海はできたばかりだった。つまり若葉マークだった。

 そこで惑星ワカバは考えた。やはりベテランのアドバイスをもらって、海を豊かにすべきだろう。

 惑星ワカバはあらゆる先輩の勧める生き物を海に生息させた。宇宙のどの惑星よりも豊かな海が出来上がった。

 惑星ワカバは海を自慢した。

 しかし、1つ問題があった。先輩惑星の1つに生息するグレートシャークに匹敵する強力な魚がいなかったのだ。

 惑星ワカバはこっそりグレートシャークを1つがい盗みだし、それを自分の海に放った。

 ……そして、惑星ワカバの海の全てはグレートシャークに食われた。

(遠野秋彦・作 ©2012 TOHNO, Akihiko)

遠野秋彦